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【憲法コラム】戦争法は一見明白に違憲無効だ、強く廃止を求める

2016年03月29日



 安全保障関連法(戦争法)が3月29日をもって施行された。許せない。
 
 私は、3月29日及び30日付の地元2紙朝刊に、次のようにコメントした。

  「戦争法は一見明白に違憲無効である。立憲主義に反し、この国の民主主義と平和を破壊する悪法だ。施行されると真っ先に沖縄が戦場となり、捨て石にされる。野党5党提出の戦争法廃止法案を今すぐ審議せよ」―。

 地元2紙が求める沖縄選出・出身国会議員コメントは、わずか100字足らずに制限されている。そこで、前記コメントを敷衍(ふえん)し、憲法コラム風に論を展開する。

 いわゆる戦争法は、安全保障関連法案(戦争法案)として、衆参両院での審議段階から多くの憲法学者、歴代最高裁長官や裁判官、元法制局長官らによって「違憲性」が鋭く指摘されてきた。圧倒的多数の世論もその「違憲性」を見抜き、反対していた。

  「2015年安保闘争」と呼ばれるように、戦争法案反対の国会包囲行動や全国各地における反対運動の現場には「SEALDs(シールズ)」や「ママの会」「シニア左翼」など組織動員されない、自立する個人の集まりも多く登場し、声を挙げていた。

 安倍総理や自公巨大与党は、これら憲法学者やSEALDsをはじめとする多くの国民の声を無視し、昨年9月19日未明の参議院本会議で強行可決・成立させたのである。まさに、この国の民主主義を破壊する暴挙そのものだった。

 多くの憲法学者が指摘するまでもなく、戦争法は立憲主義に反する。憲法は、主権者たる国民が時の権力を縛るものである。ところが、戦争法によって逆に、国家(時の権力者)が国民を縛ることになる。

 戦争法は、憲法9条を実質的に無効化するものだ。同法施行で、憲法9条に基づく専守防衛を解釈によって全面変更し、集団的自衛権の限定的行使容認の名の下に「平和国家」日本が「戦争国家」へと変貌を遂げることになる。自衛隊と米軍が一体化・融合化し、「地球の裏側」まで出掛けて軍事行動を展開することで、自衛隊は人を殺し、殺される実質的な軍隊となるのだ。もって、憲法の平和主義は死んだも同然だ。

 戦争法が施行され、発動すると、在日米軍専用施設の約74%が集中する沖縄が真っ先に戦場となり、去る大戦で20万余の尊い命が奪われた悲劇が再現されるであろう。沖縄がこの国の安全保障の名の下に再び捨て石にされることがあってはならない。

 戦争法は、11本の法律を2本にまとめた安全保障法制である。これら11本の各法律には、複雑多岐の様々な論点があった。

 安倍政権は「わが国を取り巻く安全保障環境の変化」を口実にして、わずか150時間程度の国会審議をもって「数の力」で強行成立を図った。  

 なぜ、国権の最高機関たる国会審議を形骸化せしめてまで成立を急いだのか。それは、戦争法案の国会提出前に米国連邦議会上下両院合同会議の場で「この(2015年)夏までに成立させる」と約束したからに他ならない。安倍総理に独立国家・主権国家のトップ・リーダーとしての矜持は皆無だ。あるのは米国に媚びへつらい、従属する政治哲学のみである。残念だ!

 戦争法は、成立直後から今日まで、多くの国民の理解が得られていない。成立直後、野党は憲法第53条に基づく臨時国会召集を要求し、さらなる国会論戦の深化を求めたが、自公巨大与党によって拒否された。そのことも明白な憲法違反だ。まさしく戦争法は安倍内閣による“憲法クーデター”である。
 
 戦争法は、本日(3月29日)をもって施行されたが、同法の廃止を求める各界各層の闘いは拡がり、強まるばかりである。

 今通常国会には、野党5党(現4党)共同で戦争法廃止法案を提出済だ。安倍総理と自公巨大与党は国会論戦から逃げずに、主権者たる国民の知る権利に答えるべきだ。それを怠ると、国会の機能不全どころか自殺行為に等しい。

 戦争法施行にともない、今朝の朝刊各紙やテレビニュース等では現職自衛官やその家族らの不安の声が伝えられている。当然だ。現職自衛官はもとより、国民の理解と合意のない安全保障が上手く作動するはずがない。

 本日の戦争法施行を受けて、安倍総理は「在任中の改憲」を豪語し、7月の参議院選挙(衆参同日選挙も視野)で改憲発議に必要な3分の2以上の議席確保を狙っている。

 一強多弱の国会状況に照らし、野党勢力は大同団結して選挙共闘を大胆に進め、戦争法廃止、立憲主義と民主主義、平和主義の回復を目指して闘っていかねばならない。

 結びに、戦争法廃止を求める闘いと辺野古新基地建設反対の闘いは、有機的に連動するものであることも付言しておく。通底するのは、民主主義と人間としての尊厳を賭けた闘いであることだ。その思いを共有し、闘い抜こう。


「戦争法発動反対!戦争する国許さない 3・29閣議決定抗議!」大集会=29日午後6時30分すぎ、国会正門前


(2016年3月29日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)
  

Posted by terukan at 19:29

米兵は「良き隣人」ではなく「悪しき隣人」だ―米兵性暴力に2,500人が怒りの拳

2016年03月22日

 3月22日、テレビニュースは東京での桜の開花を大々的に放映していた。ウチナーでは”一足お咲きに”とばかり、2月上旬で桜まつりは終わった。
 先週末には宮古島市で”海開き”があり、子どもたちの歓声がテレビニュースに流れた。ビーチを抱える市町村の路側帯には”海開き”の案内板が目立つ季節を迎えた。
 暦の上では彼岸入り(17日)、春分の日(20日)も終えた。ウチナーは春から夏へと一直線である。

 そのような暖かい振替休日の22日、米軍キャンプ・シュワブゲート前で「米海軍兵による性暴力を許さない緊急抗議集会」が開催された。
 私も長男、次男、そして3人の孫を含む長男一家と共に抗議集会に駆けつけた。保育園児と小学生の孫らには、抗議集会の深い意味までは理解できないだろうが、ウチナーンチュの怒りの熱気は共有してもらいたい、感じ取ってもらいたい、とオジィは願った。

 抗議集会には子ども連れ、家族ぐるみの参加者も多く見られた。「緊急抗議集会」であったが、主催者の参加予想をはるかに上回る2,500人の県民の怒りが結集した。

 事件は去る3月13日に那覇市内で発生した。
 那覇署の発表によると、キャンプ・シュワブ所属の米海軍1等水兵ジャスティン・カステラノス容疑者(24歳)が、熟睡して抵抗できない40代の観光客女性を暴行した準強姦の疑いで、即日逮捕されている。

 容疑者米兵は否認しているようだ。だが、関係者の間接証言を総合するに、犯人に間違いあるまい。許せない。怒り心頭だ。

 在日米軍基地が過密に存在するウチナーでは、過重に駐留する米軍人・軍属らによる凶悪卑劣な性犯罪、性暴力が幾度となく繰り返されてきた。
 その都度、日米両政府はウチナーの怒りの抗議に対し、「綱紀粛正」「再発防止」を約束してきたが、一向に守られた試しがない。実効性ある再発防止策は何ら講じられず、ウチナーの子どもや女性の人権と尊厳は踏みにじられ続けてきた。我慢の限界はとうに超えていた。


22日午後、キャンプ・シュワブゲート前

 私は「緊急抗議集会」でのあいさつで「米兵らは『良き隣人』ではなく『悪しき隣人』だ。もはや、手あかのついた『再発防止』『綱紀粛正』の言葉に騙されてはいけない。全ての米軍基地を撤去しない限り、性犯罪・性暴力は根絶できない」と訴えた。
 同時に、「性暴力事件において、被害女性に落ち度や過失は全くない。100%加害者が悪い。今回の被害女性の告訴の勇気に敬意を表し、全ての方々が被害女性に寄り添う気持ちが大事だ」とも訴えた。

 「緊急抗議集会」の会場では、米兵による性犯罪・性暴力で被害を受け、怒りの声を上げられなかった事例についても聞かされた。本当に胸が張り裂ける思いだ。
 また、米兵犯罪の温床になっている不平等・不公平な日米地位協定の全面改正を求める声も上がった。当然だ。

 今回の事件の加害米兵が、キャンプ・シュワブ所属であることが判明し、一層辺野古新基地建設反対の声も高まった。
 昨日は「緊急抗議集会」参加の市民でゲートは封鎖され、その機能はほぼマヒした。
 
 他方、ウチナーで米海軍兵による怒りの大抗議集会が開かれたのに、中央のマスメディアはほとんど報じない。いや、事件そのものがほとんど報道されていない。全く情けない。
 一女性の人権と尊厳が冒されたというのに、花見に浮かれ、酒やビールをあおって騒ぐ人々ばかりが大量にテレビに映し出されるこの国ニッポンはどうなっているんだ。

 結びに、昨日の「緊急抗議集会」決議の要求項目を列記しよう。

 1.被害女性に対する人権保護と謝罪を強く要求する。
 2.徹底した再発防止を図り、リバティー制度を強化し、全県で宿泊を禁止すること。
 3.日米地位協定を直ちに改定すること。
 4.すべての米軍は沖縄から撤退すること-。

 抗議決議の宛先は総理大臣、米国大統領、駐日米国大使、在沖米軍4軍調整官、防衛大臣らである。

3月22日 17:00
  

Posted by terukan at 17:43

【憲法コラム】「壊憲」に抗い 不戦と護憲に生きる

2016年03月18日



 今日の憲法コラムの表題「『壊憲』に抗い 不戦と護憲に生きる」は、最近私が上梓した著書名である。1995年7月の参議院議員初当選いらい揺るがぬ国会議員としての信念、決意でもある。

 最近になって、安倍総理の憲法に対する信念と決意も明白になった。

 安倍総理は「在任中の改憲」にただならぬ意欲を示している。来る7月予定の参議院選挙で、自民党・公明党の巨大与党と野党の一部改憲勢力と糾合し、改憲(以下「壊憲」という)の発議に必要な3分の2の議席獲得に向けた決意を公言して憚らないのだ。
 
 7月の参議員選挙(ここへきた衆参同日選挙の可能性も高まってきた)は、ほぼ間違いなく憲法改正問題(本質は「壊憲」だ)が最大の争点になるであろう。
 
 もしかしたら、安倍総理の常とう手段とも言うべき「巧妙な世論操作」によって、最大争点を隠し、参議院選挙勝利後に「壊憲」へと暴走する算段かもしれない。いずれにせよ要注意、要監視だ。
 
 私が安倍総理の「在任中の改憲」に論及するのには根拠がある。決して、思いつきで言っているのではない。それについては衆参予算委員会の場で議論され、多くのマスコミが報じている通りだ。

 自民党規約によると、安倍総理の任期は2018年9月までである。衆議院における小選挙区制導入から久しい中、自民党内の異論は封殺され、同党国会議員も政治家として劣化している。今や独裁者たるアベ総理(自民党総裁)の前では多くの者が「蛇に睨まれた蛙」なだけに、党規約改正による任期延長も予想されるが、現規約に従えば今回が最後の参議院選挙となる。安倍総理にとっては「在任中の改憲」に向けた環境整備(「壊憲」勢力による衆参両院での3分の2議席確保)のチャンス到来だ。きっと「伝家の宝刀」である衆議院解散も虎視眈々と狙っているのだろう。

 話は変わるが、去る3月2日付「参議院予算委員会速記録(未定稿)」を精読してビックリ仰天した。以下、抜粋する。

 ●大塚耕平議員(民主党)
 総理は、在任中に憲法改正をしたいというふうにお考えでしょうか。

 ●安倍総理
 憲法改正については、自由民主党は今年で立党61年を迎えるわけでありますが、立党当初から党是として憲法改正を掲げているわけでございまして(略)さきの総選挙でも訴えているわけでございますから、それを目指していきたいと、こう考えております。

 ●大塚議員
 在任中に憲法改正を成し遂げたいとお考えですか。

 ●安倍総理
 (略)私も、私の在任中に成し遂げたいと、こう考えておりますが・・・(以下略)
 
 ご覧の通り、大塚議員への答弁の中で、安倍総理は「在任中の改憲」を豪語しているのだ。そのためには与党だけでなく、一部野党の「壊憲」勢力(自民党の補完勢力)の協力も得ての3分の2議席獲得が必要だ、とも答えている。
 
 では、安倍総理や「壊憲」勢力は、何を突破口にして「壊憲」を実現しようとしているのか。
 
 私が衆議院憲法審査会に所属していた数年前から言われていたのは、国家緊急権(緊急事態条項)、環境権、財政規律条項の創設―等である。
 
 安倍総理と「壊憲」勢力の本命は、自民党「日本国憲法改正草案」(2012年)に基づく憲法9条改悪(「国防軍」創設)、憲法前文の全面書き換え―などにあるのだろうが、まずは国民を「壊憲」手続きに慣らす「お試し改憲」を優先しているのだ。その筆頭が国家緊急権創設にあるのは間違いない。
 
 去る3月11日、東日本大震災・福島第一原発事故から5周年の節目を迎えた。あの大惨事から5年、大地震と大津波、原発事故による被災・被害からの復興は道半ばだ。「人間の復興」もまだまだ実現していない。
 
 「壊憲」勢力は、東日本大震災の生々しい記憶が多くの国民の脳裏に焼き付いている中、それを「お試し改憲」のために悪用せんと企んでいるのだから質(たち)が悪い。やり方が姑息すぎる。
 
 芦部信喜『憲法(第5版)』(岩波書店、2011年)は、国家緊急権について次のように論述している。

 「戦争・内乱・恐慌・大規模な自然災害など、平時の統治機構をもっては対処できない非常事態において、国家の存立を維持するために、国家権力が、立憲的な憲法秩序を一時停止して非常措置をとる権限を、国家緊急権という」―と。
 
 要するに、国家緊急権とは、立憲的な憲法秩序の一時停止(永久にかもしれない)によって、執行権者(内閣)に権力を過度に集中させ、人権を制約するものである。それ故、たとえ「お試し改憲」であろうと、絶対に認められない。

 安倍総理は、先の「戦争法」強行成立によって、この国の平和主義と立憲主義、民主主義を破壊したばかりだ。今また国家緊急権発動のための「お試し改憲」で「壊憲」し、この国を根本からずたずたに破壊せんとしている。

 安倍総理と一部野党を含む「壊憲」勢力の企みを打ち砕くため、今何が政治に求められているのか。

 立憲主義を回復するために「戦争法」廃止、反原発(原発再稼働反対)、辺野古新基地建設反対、労働法制改悪反対、反貧困・格差是正―などの基本政策で野党が結集し、国会内外での共闘、幅広い市民との連帯を早急に創り出すことだろう。
 
 7月の参議院選挙が刻一刻と迫っている。現下の政治状況にあって「自民党1強体制」を崩さない限り、真の民主主義は確立できない。巨大与党に対峙し、「壊憲」勢力に楔を打ち込むためには、大胆な選挙協力が大切だ。各野党が党利党略にとらわれるようなことがあってはいけない。
 
 今日の憲法コラムでは、国家緊急権(緊急事態条項)に絞って言及したが、昨今の政治状況自体が、この国の立憲主義、それに支えられる日本国憲法の三大原理である「平和主義」「国民主権」「基本的人権尊重主義」にとって緊急事態、非常事態であることも付言しておきたい。
 
 安倍総理の「任期中の改憲」を阻止すべく、みんなで声を挙げ、創造的行動に立ち上がろう。


 
 結びに、表題の拙著をご一読ください。定価1,500円を1,200円(送料当方負担)で販売しております。購入希望の方は、私の国会事務所(03-3508-7069)までお電話ください。

(2016年3月18日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)
  

Posted by terukan at 18:38憲法コラム

卑劣な米兵の性犯罪を糾す

2016年03月15日

 またもや、またもや凶悪卑劣な米兵による性犯罪が発生した。容疑者米兵に対する強い怒り、被害女性の心痛に胸が張り裂ける思いだ。

 事件は、去る3月13日の未明から早朝までの間に、那覇市内のビジネスホテルで発生した。
 逮捕された加害者の容疑者米兵はキャンプ・シュワブ所属のジャスティン・カステラノス海軍一等水兵。被害者は観光旅行で沖縄にやってきた40代女性である。


凶悪事件を報じる3月15日付地元二紙

 地元二紙が報じるところによると、事件概要は以下のとおりだ。
 被害女性は一緒に沖縄観光に来た知人と自室にいたが、途中で飲み物を買いに部屋を出たところ、鍵を忘れてしまった。オートロックのため、戻った際に入室できず、知人に電話したが出なかった。どうやら眠ってしまったようなので、やむなく廊下で眠ってしまった。
 同じ階の部屋を執っていたカステラノス容疑者は、廊下で被害女性を発見し、抱きかかえて自室に連れ込んだうえで犯行に及んだとみられる。
 午前4時ごろ、知人男性が女性の悲鳴を聞き、カステラノス容疑者の部屋のドアを叩くと、容疑者が現れ、被害女性も部屋にいたという。男性が被害女性を保護し、自室で事情を聴いている間に、カステラノス容疑者はホテルの外に出たようだ。
 しかし、午前5時45分ごろホテルに戻ったところを、通報を受け駆け付けた那覇署員が職務質問し、任意同行した。同署に戻って容疑を慎重に固め、約4時間後に緊急逮捕したという。

 膨大な米軍基地が存在し、2万人余の米兵が駐留する沖縄では、今回のような米軍人・軍属による女性(子供を含む)に対する悪質極まりない性暴力、性犯罪が何度も繰り返されてきた。
 そのたびに、ウチナーとウチナーンチュは怒り、女性や子供の尊厳と人権を守れ、と日米両政府に訴えてきた。米兵による許しがたい蛮行(性犯罪)が惹起されるたびに、県民大会を開催して抗議してきた。
 そのときだけは、在沖米軍や外務省・防衛省は県民向けに「綱紀粛正」や「再発防止」を約束する。だが、実効性を伴わない弥縫策であるため、凶悪犯罪はまた繰り返されるのだ。怒り心頭、腹の底からワジワジーする。

 今回の事件発生を受け、翁長知事はただちに在沖米4軍トップのローレンス・ニコルソン第3海兵遠征軍司令官に対し、「女性の人権を蹂躙する重大な犯罪であり、強い憤りを覚える」「戦後70年、沖縄は悲惨な事件・事故に耐えながら日米安保体制を支えてきた。子や孫に対する責任があり、絶対に許せない」などと抗議している。

 翁長知事の怒りは当然だ。140万県民が知事と同じ思いだ。昨年9月、国連人権委員会で翁長知事が訴えたように「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」

 今回の事件でもわかるように、最近は米軍人・軍属による凶悪犯罪が基地の集中する沖縄本島中北部のみならず、県都那覇市内でも多発している。上官らの監視の目を逃れて羽を伸ばすため、那覇まで足を延ばしているためだ。
 過密で狭隘な沖縄のどこに居ても、米軍基地あるが故の事件・事故が途絶えることはない。駐留米軍の撤退なくして、米兵犯罪の根絶などあり得ない。

 今回、被害女性は観光目的で沖縄にやってきて悲惨な犯罪に遭っている。悲しいし、ワジワジーが収まらない。想像しただけで、はらわたが煮えくり返る。
 
 観光産業は平和があってこそ成り立つ「平和産業」だ。米軍基地と観光は本質的に両立しないのである。共存できるわけがない。

 カステラノス容疑者は今のところ、容疑を否認しているようだが、沖縄県警と検察庁には厳正な捜査を望むものである。

 沖縄の日常では、わが国の主権をないがしろにする不平等・不公平な日米地位協定によって、米軍人・軍属は手厚く保護され、さまざまな特権を与えられている。
 今回の事件は、容疑者米兵の非番中(公務外)に惹起され、ホテル(基地外)で身柄確保(任意同行)のうえ緊急逮捕されたため、わが国の警察権、司法権が十全に行使される。
 しかし、これが公務中であったり、容疑者米兵が基地内に逃げ込んでいたならば日米地協定上、警察権、司法権は及ばず「手も足も出ない」のだ。

 私は国会議員になって20年余、日米地位協定の全面改正が実現しない限り、ウチナーンチュ(いや、ヤマトの方々も含む日本国民)の人間としての尊厳(人権)は守れない、と訴えてきた。悲願達成まで、これからも日米両政府を相手に叫び、訴え続けていきたい。

 今回の事件もそうだが、いかなる性犯罪であれ、被害者には一点の落ち度もない。被害者を責めることはいささかもあってはならない。 
 
 準強姦罪は強姦罪同様、親告罪(被害者の告訴がなければ起訴されない)であるため、泣き寝入りする人も多い。私は、告訴に踏み切った被害女性の勇気を讃えたい。 
 
 今、私たちがすべきは被害女性に寄り添って、力になってあげることだけだ。国会議員としての私の責務でもある。

3月15日18:00
  

Posted by terukan at 20:10

【憲法コラム】遠い 遠い はるかに遠い―国と沖縄の「真の和解」―

2016年03月10日




 去る3月4日のウチナーにおける「さんしんの日」、国(原告)が沖縄県(被告)を訴えた代執行訴訟で、電撃的な「裁判上の和解」が成立した。
 
 私は、そのビッグニュースを米軍キャンプ・シュワブゲート前の座り込み闘争現場で耳にした。
 
 私が、国と沖縄県が「裁判上の和解」に合意した、とのニュースに接した経緯は、同日付の私のブログに記してある。
 
 翌3月5日、地元二紙の詳報、福岡高裁那覇支部の和解勧告文(全文)、成立した和解書本文(条項)などを通して、和解の全容やそこに至る経緯・背景を知った。
 
 私の約44年に及ぶ弁護士的感覚からすると、国が辺野古新基地工事中断を受け入れた点で、今回は被告沖縄県の「勝訴的和解」である。すなわち、実質的な沖縄県の勝訴だ。
 
 3月5日付の地元二紙は、電撃的な和解成立を県幹部が「暫定勝訴」と表現する一方で、防衛省幹部が「不戦敗」と吐き捨てた、と報じている。いずれの言い分も理解できる。(だが、表現としては、業界用語でいう沖縄県の「勝訴的和解」がピッタシだ)
 
 さて、和解成立の翌日に地元紙に掲載された福岡高裁那覇支部の和解勧告文を精査すると、国(安倍政権)が和解に応じたのは、間違いなく敗訴のリスクを回避せんがための決断であった、と読める。
 
 裁判所が国と沖縄県双方に提示した和解勧告文は、①行政不服審査法に基づく国による代執行訴訟提起は、国・県が対等・協力関係にあることを示した平成11年改正地方自治法の精神に反する、と痛烈に批判した上で、②今後埋め立て承認の撤回がされたり、設計変更に伴う変更承認が必要となった場合、特に後者においては知事の広範な裁量権限に照らし、国が敗訴するリスクが高い、と明言している。③本来、辺野古問題はオールジャパンで最善の解決策を考え、米国に協力を求めるべきである、とも言及している。
 
 いずれも、誠に持って正論だ。司法に幻想を抱くものではないが、裁判所にこれだけ具体的かつ批判的に指摘されると、国側代理人も「敗訴」が脳裏によぎったに違いない。それ故、工事強行に躍起な防衛省を外し、官邸主導での電撃和解に至ったのだろう。
 
 和解成立から土日を挟んでわずか3日目の去る3月7日、国は和解条項第3項に基づき、沖縄県に対して地方自治法第245条の7に定める是正の指示を発出した。

 是正の指示が和解条項に明確に違反するとは言い切れないが、和解条項第8項の「原告(国)及び利害関係人(沖縄防衛局)と被告(沖縄県)は(中略)普天間飛行場の返還及び本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う」との主旨に違反するのは明らかだ。
 
 そもそも、和解成立後に「円満解決に向けた協議」は1度も開かれていないばかりか、その日程はおろか、「協議」の枠組みすら全く決まっていない。

 そのような状況下で、国は是正の指示に踏み切ったのだ。当然、沖縄県は不服とし、和解条項第3項の定めに従って1週間以内に国地方係争処理委員会に審査を申し出ることになる。その場合、同委員会の導く結論がどうであれ、国は辺野古新基地を諦めないし、沖縄県(翁長知事)の新基地阻止の姿勢も全く揺るがないだろう。したがって、審査申し出は、事実上の国と沖縄県との「新たな裁判闘争」の始まりとなる。
 
 安倍総理は、和解受諾を表明した記者会見の場で「辺野古が唯一の選択肢」と相も変わらず、寝ぼけたことを言っている。不誠実にも程がある。
 
 ただ、翁長知事も負けていない。3月8日の県議会本会議の場で、是正指示に踏み切った国を批判しつつ、3月4日の和解に拘束されるのは「埋め立て承認取り消しに伴う2訴訟」だと明言し、「オールジャパンで提言をした場合に米国も見る可能性があるとの話(和解条項)は『辺野古が唯一』ではないと読める」と応酬した。発言から翁長知事の断固たる信念と決意が感じ取れよう。

 だいたい、抑止力や地政学的理由を挙げては、ウチナーだけに日米安保や米軍基地の負担と犠牲を強要して恥じない、思考停止の安倍政権である。「辺野古が唯一」とのたまうのも、沖縄差別の基地押しつけしか頭にないからだ。


3月8日、衆議院安全保障委員会

 私は、一昨日(3月8日)の安全保障委員会における中谷防衛大臣との和解に関する質疑応答(不誠実な答弁)を踏まえ、「裁判上の和解」による埋め立て「工事中断」にとどまらず、国をして埋め立て「工事断念」に追い込むまで、不屈の闘いを持続的・創造的に展開していかねばならない、との思いを強くした。

 安倍政権がアメリカに隷従し、沖縄を軍事植民地的に扱う姿勢を改め、沖縄差別を止めない限り、国と沖縄に「真の和解」はやってこない、と断言する。

 安倍総理よ、自民公明の巨大与党よ、「ウチナーンチュ ウセーテ ナイビランドー」(沖縄の人を蔑ろにしてはいけませんよ)

 嗚呼、国とウチナーの「真の和解」は遠い、遠い、はるかに遠い―。
 
 一昨日の晩は、寝床に入ってからダークダックスが歌う「銀色の道」の一節を思い出した。ダークダックスの「銀色の道」に準えれば、今現在、国と沖縄が歩んでいるのは「灰色の道」いや「泥沼の道」だ。

 悶々として、なかなか寝付けない中、辺野古新基地建設反対の闘いに勝利するまで、諦めずに闘う決意をさらに固めた。

(2016年3月10日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)
  

Posted by terukan at 10:04憲法コラム

シュワブゲート前に三線の調べ流れる

2016年03月04日

 「さんしん」とは三線(三味線)のことである。語呂合わせだと思うが、今日(3月4日)は「さんしんの日」だ。

 この日、正午の時報に合わせて「かぎやで風」節のさんしん合奏がウチナー中に鳴り響く。正確には、読谷村の鳳ホールを主会場に県内各地で、神奈川、福岡、ハワイ、ブラジルなどの全世界で大小様々なさんしん合奏会がおこなわれた。
 「ゆかる日 まさる日 さんしんの日」と称し、午前11時45分から午後9時まで、RBCラジオの電波に乗って、さんしんの調べが流れるのだ。

 私は「さんしんの日」に米軍キャンプ・シュワブゲート前にいた。ゲート前で辺野古新基地建設反対闘争の皆さんと一緒に「さんしんの日」を楽しんだ。

 さんしんは、琉球王朝いらいの「非武の文化」の象徴である。ウチナーの歴史、文化、芸能の中心にさんしんや琉球舞踊がある。
 よく「ヤマトでは床の間に刀を飾るが、ウチナーではさんしんを飾る」との表現で、ヤマトとウチナーの文化の違いが示される。世界に誇るさんしん文化はウチナーの命だ。







 さて、辺野古・大浦湾海上とシュワブゲート前では、連日にわたる日米両権力との闘いが熾烈いに、しかし、しなやかに、したたかに「非武装抵抗闘争」の形で展開されている。その闘いでは、抗議の意思を示すシュプレヒコールの合間に、さんしんの調べが響き、即興の舞、カチャーシーが乱舞する。

 今日の「さんしんの日」の日には、総勢37人の引手が揃い、大勢の者が「かぎやで風」を舞った。観ていて圧巻、胸が高鳴った。
 文化の力、芸能の力をも武器に、強大な権力者と闘う様はまさにウチナー的!この闘いは必ず勝利する、と確信した。

 シュワブゲート前での「さんしんの日」大集会の最中に、国と県による代執行裁判で、国側が裁判所提示の「暫定的和解案」を受け入れた、とのネットニュースが飛び込んできた。

 ちょうど連帯挨拶を指名されたところだったので、冒頭でビッグニュースを紹介した。
 ゲート前で座り込み闘争を続ける市民から歓声が上がった。涙を流して抱き合い、喜びを表す人、人、人。
 
 私は「代執行裁判における双方の主張、裁判長の訴訟指揮からして沖縄県の勝訴を信じていた。国が『暫定的和解案』を受諾し、工事がストップするのは、皆さんの粘り強い闘いが呼び込んだ勝利だ。『暫定』ではなく、埋め立て断念に追い込むまで一層団結して闘おう!」と呼びかけた。
 さんしんの調べの余韻を楽しみながら、シュワブゲート前を後にした。

3月4日 17:00
  

Posted by terukan at 17:50
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