社民党

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Posted by TI-DA at

島袋前市長が名護市長選立候補表明

2013年10月30日

 昨日の昼、安保委員会での質問を終えて委員会室を出ると、顔見知りの某記者にバッタリ会った。
 13時からの本会議に向かう為、エレベーターホールに居ると、某記者が「テルヤさん、未確認情報ですが島袋吉和前市長が名護市長選挙(来年1月19日)に立候補表明するらしい」との事だった。一瞬、耳を疑った。
 その後、本会議を終え、秘書に某記者からの情報を伝えると、地元二紙でも同様な情報がある事が確認された。

 今朝の琉球新報は「島袋氏出馬の意向 保守分裂の様相」「一本化、なお模索」との見出しを付して報道している。
 沖縄タイムスは「島袋氏『辺野古』意思固く」「名護 保守分裂で迷走」「仲井真知事は一本化期待」と報じている。

 来年1月19日が投開票の名護市長選挙、私は「辺野古の陸にも海にも新基地は造らせない」と公約する現市長 稲嶺進氏を支持応援する。

 保守側の人選は難航し、つい先日、県会議員の末松文信氏(自民党)に一本化され、同氏も立候補の意向を表明したばかりだ。いったん島袋氏も末松氏の立候補を承知したものと理解した。ここへ来て突然の立候補表明の裏事情は何か。昨夜から今朝にかけて、地元紙の記者や名護市の関係者らから情報収集した。
 島袋氏は、末松氏が普天間飛行場の辺野古移設容認を明確にしない事が不満で立候補すると公言している。はたして、保守分裂してまで「公言を」貫くのか、他に意図があるのか。政治の世界は魑魅魍魎、一寸先は闇だ。保守の政治家は利権と金でいかようにも動く。
 今後、官邸、自民党本部や県連、仲井眞知事サイドが様々に一本化工作をするであろうことが予想される。
 島袋氏は、今日(10月30日)正式に出馬表明し、末松氏も明日(10月31日)出馬会見し、辺野古移設への賛否も明らかにするようだ。

 私は、現職稲嶺市長を支持する立場で、相手候補が誰に決まろうが、しっかり選挙体制を確立し、有権者に堂々と政策を訴え、政権を総動員しての選挙に勝たねばならないぞ、と関係者に電話でハッパをかけた。
 先ずは、来月17日の北谷町長選挙で自民党推薦候補に勝利する事が私の責任だ。

 このブログを読んで下さっている皆さん、北谷町長選、名護市長選の応援をお願いします。

11月30日 17時25分  

Posted by terukan at 17:29

憲法・刑事法学者らの特定秘密保護法案反対声明

2013年10月29日

 昨日(10月28日)憲法・刑事法学者らがそれぞれ特定秘密保護法案の問題点に専門的な立場で警鐘を乱打し、同法案に反対する声明を発出した。
 声明に賛成する学者・研究者は憲法・メディア法が142人、刑事法が123人、合計265人に及んでいる(本稿執筆時点)。
 特定秘密保護法案については、その法案の中身が詳細に判明するにつけ、広範な反対運動がもり上がりつつある。

 昨日の声明発表会見で、憲法・メディア法の呼びかけ人の山内敏弘一橋大名誉教授は「法案は憲法の三つの基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する」、刑事法の呼びかけ人代表の村井敏邦一橋大名誉教授は「(軍事機密を守る目的で制定された)戦前の軍機保護法と同じ性格。戦前の影響を考えれば、刑事法学者は絶対反対しなければならない」と語っている(10月29日付東京新聞朝刊)。
 いずれの呼びかけ人のコメントで指摘する点については、私も先のブログに書いた。
 今日は、安保委員会の質問の合い間に、秘書を介して学者らの声明の全文を入手した。じっくり読み込んで勉強して、明日以降、ブログで感想を綴っていきたい。



 今日は、18時30分から「特定秘密保護法案と立憲主義否定の国づくりに反対する10・29集会」が日比谷野外音楽堂であり、今しがた議員会館に戻ってきたところである。

10月29日 19時35分  

Posted by terukan at 19:40

特定秘密保護法案を沖縄から撃つ

2013年10月28日

 安倍内閣が今臨時国会の会期内(12月6日)成立を目論む特定秘密保護法案について、沖縄からも「廃案」を求める声が高まっている。
 私も、特定秘密保護法案が民主主義の根幹である国民の「知る権利」「報道・取材の自由」に対する重大な侵害であり、「廃案」以外にない、とブログで再三再四訴えてきた。
 地元二紙も、特集連載記事を毎日掲載している。地元二紙の連載記事を読むにつけ、「基地の島沖縄」と特定秘密保護法案が有している情報の国家統制の恐ろしさに身震いする。

 今日(10月28日)の地元二紙は、共同通信の配信記事で、同社が10月26、27日の両日実施した全国電話世論調査で特定秘密保護法案に反対が50.6%、賛成35.9%だったと報じている。慎重審議を求める意見は82.7%で、今国会での成立を望む意見は12.9%に過ぎない。
 共同通信の世論調査に見るように、多くの国民は特定秘密保護法案に反対であり、国会での十分にして慎重な審議を望んでいるのである。
 ところが、安倍内閣は国民の多くの声に聞く耳を持たない。今日から衆議院の特別委員会では「日本版NSC法案」の審議が始まり、同法とセットの特定秘密保護法案も一体として成立を期そうと企図している。

 今日の地元二紙は、期せずして自衛隊那覇基地に建設されようとしていた対潜水艦作戦センター(ASWOC)の図面を那覇市が市民からの情報公開請求に開示決定したことに対し、国が那覇市に差し止めを求めた裁判の記事を扱っている。裁判の結果は国が敗訴した。


28日付地元二紙

 国は、図面公開の危険性として、①建物の耐久性、②建物内の重要施設配置、③電気容量から推定されるコンピューター能力の3点の秘密が敵に知られると主張した。那覇地裁は「建物は脆弱であることは明らか」と秘密性を一蹴した。
 当時、那覇市の代理人であった仲山忠克弁護士は沖縄タイムスで「軍事機密は際限なく広がり、虚偽と隠蔽を繰り返す」と語っている(10月28日付沖縄タイムス)。

 沖縄は、膨大な米軍基地があるが故に、戦後(戦中も)一貫して軍事や外交の秘密の犠牲にされてきた。「沖縄密約」の西山事件を想い出すまでもない。
 やっぱり、特定秘密保護法案は廃案しかない。

10月28日 10時20分
  

Posted by terukan at 10:28

造反のすすめ-自民党・村上誠一郎衆議院議員へ

2013年10月25日

 「造反有理」という言葉がある。中国の毛沢東が革命戦争中に用いた言葉で「謀反にこそ正しい道理がある」との意味だと理解する。

 今朝(10月25日)政府が閣議決定した特定秘密保護法案に対し、元行革担当相で自民党の村上誠一郎衆議院議員が、同法案は国民の「知る権利」等を侵害する危険性があるとして、反対する意向を示している。(10月24日付「毎日新聞」夕刊)
 村上議員は「(特定秘密保護法案には)報道・取材の自由への配慮規定を明記したが、努力規定どまりだ。本当に国民の知るべき情報が隠されていないか、私も自信がない。報道は委縮する。基本的人権の根幹に関わる問題だ」とも述べている。(前掲「毎日新聞」)

 その通りだ。村上議員、私も同感ですよ。

 村上議員は、法案提出を了承する自民党総務部会を途中退席し、反対の意向を示した。退席者が自分一人だったことには「小選挙区制では党が公認、カネ、人事の権限を握る。政治家の良心として、言わねばならないことも言えなくなっている」と記者に語ったようだ。
 一強多弱(与野党の勢力が)の国会にあって、自民党政治家の良心に基づく「造反有理」を示す者がごくごく少数になってしまった。「良心的保守」は死んだも同然だ。

 そのような中での小泉元総理の「原発ゼロ」発言、特定秘密保護法案に対する村上議員の警鐘を高く評価し、支持する。

 たった一人でもよい。村上議員には、与党の中で最後まで反対を貫いてもらいたい。

10月25日 10:30



   

Posted by terukan at 10:34

【憲法コラム】日米軍事一体化・融合化と特定秘密保護法

2013年10月25日



 安倍内閣は、10月25日、特定秘密保護法案を閣議決定した。今臨時国会へ提出し、会期中に成立させる事を目論んでいる。

 衆議院では、去る10月18日に「国家安全保障に関する特別委員会」が多数決で設置され、同特別委で「国家安全保障会議設置法案」(日本版NSC)の審議を先行させ、特定秘密保護法案と併せて、短期間の国会審議でもって可決成立させようとしている。両法案は、その立法目的や背景において密接に関連しており、いわば一体の法案である。

 特定秘密保護法案は、余りにも多くの問題点を孕んでおり、一口に法案の本質、論点、その立法目的を表現するのは難しい。安倍内閣が早期成立を企んでいるだけに、如何にして多くの国民に法案の危険性を伝えるか、気が焦る。一刻も早く「日本版NSC法案」と特定秘密保護法案を廃案に追い込むには、一強多弱の国会論戦だけでは無理だ。正直、無理どころか不可能だ。第一、野党の中にも両法案に賛成する政党がある。いわゆる野党内自民党補完勢力である。両法案の早期成立を図るための特別委員会設置に反対したのも社民党、共産党、生活の党3党だけである。

 今、緊急に求められているのは、国会の外における広範な国民の反対運動の組織化である、と私は考える。もちろん、国会論戦は必要だし、大事である。だが、巨大与党は、多数決の美名に隠れて、数の横暴で国会審議を形骸化させ、議論を封殺するにちがいない。幸いにして、日弁連などの法律家集団、学者、多様なメディアの方々、NPO団体、市民団体などが反対の声を上げている。かつて、「デートもできない警職法」の合言葉で大きな反対運動をつくり出し、警察官職務執行法改正案を廃案に追い込んだように、国会議員と広範な国民の共同行動を早期に創り出すよう全力を尽くす決意を固めている。

 さて、私は「日本版NSC法案」と特定秘密保護法案は、一体の法案だと書いた。「日本版NSC法案」は、外交・安全保障の司令塔としての国家安全保障会議の設置とその機能強化が目的である。特定秘密保護法案も「我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを的確に保護する体制の確立」等を目的にしている。特定秘密保護法案では、かかる目的で、①防衛に関する事項、②外交に関する事項、③特定有害活動に関する事項、④テロリズムの防止に関する事項、に関する情報であって、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを「特定秘密」として「行政機関の長」が指定することになっている。

 「特定秘密」の4項目は、その範囲が広範かつ不明確で、政府権力にとって不都合な情報を恣意的に指定できる。しかも、どんな情報が「特定秘密」に指定されたのか、その妥当性をチェックし検証する仕組みはない。一度指定されると5年毎に更新され、永久に続く。そのうえ、「特定秘密」を取り扱う公務員や民間の契約業者らが故意又は過失で漏らすと、最高10年の懲役刑だ。国会議員らの漏えいも最高5年の懲役刑である。人を欺くこと、暴行、脅迫、窃取、不正アクセスなどによる特定秘密の取得は最高10年の懲役刑だ。そして、それらの未遂、共謀、教唆、扇動も処罰の対象となり、外交・防衛の秘密情報を入手せんとする研究者、メディア、反基地、反原発の活動家らも犯罪容疑者としてターゲットにされる。

 現行の国家公務員法、自衛隊法にも情報漏えいへの処罰規定はある。特定秘密保護案は、現行法をはるかに上回る重罰化でもって、「特定秘密」を取り扱う公務員らを威嚇し、委縮効果を狙っている。

 特定秘密保護法案の問題点の一つに、「特定秘密」を扱うことになる公務員が情報を漏らす恐れはないか見極めるために実施される適正評価がある。同法案第12条によると調査事項は①スパイ・テロ活動との関係、②犯罪、懲戒、③情報の取り扱い歴、④薬物乱用や影響、⑤精神疾患、⑥飲酒の節度、⑦借金などの経済状況、などで個人のプライバシーを侵害し丸裸にするものだ。そのうえ、当該公務員の親、配偶者、子、兄弟姉妹やその他の同居人の住所、生年月日、国籍までも調査される。「よくもそこまで調査するな」と呆れるばかりだ。憲法が保障する個人の尊厳の全否定ではないか。

 情報の公開、国民の知る権利、報道の自由や取材の自由は、民主主義の基本であり、憲法が定める国民主権の根本である。特定秘密保護法はそれらに反する悪法の最たるものだ。戦前の軍機保護法の再来であり、「秘密国家」、「情報統制国家」づくりの反民主主義的で違憲の法律だと強く指弾せざるを得ない。

 何故、安倍内閣はかかる悪法の制定を急ぐのか? 私は、現下日米軍事一体化・融合化が急激に進行している事態の反映だと考える。2000年10月の「アーミテージ・レポート」、2005年10月、「部隊戦術レベルから国家戦略レベルに至るまで情報共有及び情報協力の向上」を謳いあげた「日米同盟:未来のための変革と再編」、2007年8月に日米間で締結された軍事情報の漏出防止を目的とした軍事情報包括保護協定(GSOMIA)等が間違いなく背景にある。要するに、日米軍産複合体の利益擁護法案だ。

 また、特定秘密保護法案は、自民党「日本国憲法改正草案」が国防軍を創設し、「機密の保持に関する事項は、法律で定める」としている事、安倍総理が憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認により、「地球の裏側」でもアメリカと一緒に戦争ができるようにしようと野望を抱く憲法9条改憲などとも符合する。

 特定秘密保護法案の与党内修正協議の中で、国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」に配慮する訓示規定が挿入されたが、単なる努力規定にすぎず屁の突っ張りにもならない。日本が平和国家から戦争国家へと暴走する為の特定秘密保護法案は、廃案いがいにない。


筆者も呼びかけ人となっている「秘密保護法を考える超党派の議員と市民の勉強会」(第2回・10月16日)

(2013年10月25日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)  

Posted by terukan at 00:00憲法コラム

小泉元総理の「原発ゼロ」提起を支持する

2013年10月22日

 小泉元総理の「原発ゼロ」発言が様々な議論を呼び、マスコミを通じて波紋を広げている。
 私は、政府・自民党に対し、「原発をゼロにする」という方針を打ち出すべきだ、との小泉元総理の主張を支持する。

 小泉元総理は、去る10月19日の読売新聞に小論文を寄せ、同紙が10月8日付の社説で、小泉元総理の「原発ゼロ」の考え方について「あまりに楽観的であり、無責任」で見識を疑う、と批判したことに反論している。
 私は、小泉元総理の反論文を読んで、原発の再稼働を急ぎ、原発の輸出を促進、コントロールできない福島第一原発の汚染水問題を隠ぺいせんとする安倍内閣や読売新聞社説の態度こそ「あまりに楽観的であり、無責任」だと思う。

 小泉元総理は「日本は、原発から生じる放射性廃棄物を埋める最終処分場建設のメドが付いていない。核のごみの処分場のあてもないのに、原発政策を進めることこそ『不見識』だと考えている」と書き記している。その通りだ。全く同感だ。
 
 「人類は、核という魔力を、最後の行き場を深く考えないまま手にしてしまった」(9月19日付「毎日新聞」朝刊)のだ。
 私は、チェルノブイリ、オーストリア、フランス、ドイツ等の原発事情を視察し、「3.11」福島第一原発事故の現状を知る中で、原発がいったん暴発すると、もはや人類の知恵では制御できない、と考える。
 
 小泉元総理の反論文は「原発ゼロの循環型社会を目指して努力を続けたいと」と結んでいる。私も支持するものだ。
 頑張れ!小泉元総理。原発ゼロを目指して、いざ共に。

10月22日 17:30  

Posted by terukan at 17:56

【憲法コラム】軍靴の響きの高まりと教育の国家統制

2013年10月22日



 戦争はある日突然に始まるのではない。国家が戦争を準備し、突入する時には、その前段で教育に対する国家統制が巧妙に仕込まれる。そして、教育の国家統制は、学校現場で子ども達が使用する教科書の国家統制も同時に始まるのだ。「戦争は教育から始まる」と言われるが、まさに至言である。私は、軍靴の響きの高まりは、教育の国家統制の始まりの予鈴だと思っている。

 今、日本中に、特に沖縄では戦争の始まりにつながる教育の国家統制の予鈴が不気味に鳴り響いている。

 教育の国家統制問題を論ずる前に、教育と憲法について考えてみよう。日本国憲法第26条は、教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、義務教育の無償について、次のように定めている。

 「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
 ②すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」――と。

 憲法第26条について、わが国の裁判上の判例においては「本条は、子どもの教育は教育を施す者の支配的権能ではなく、子どもの学習する権利に対応し、その充足を図りうる立場にある者の責務に属することを定めるが、このような教育の内容・方法をだれがいかにして決定するかを直接一義的に定めるものではない」とする。憲法第26条2項との関連では、次のような最高裁判例がある。

 「憲法の義務教育は無償とするとの規定は、国が義務教育を提供するにつき対価すなわち授業料を徴収しないことを意味し、このほかに教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものではない。」――昭和39年2月26日、最高裁大法廷判決――

 憲法第26条を受けて、「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」(昭和37年4月1日公布)が制定され、同法第1条は「義務教育諸学校の教科用図書は無償とする。」と定めている。そして、義務教育で使用する教科書を無償配布するための具体的方法や教科書採択などの仕組みを定めた法律が「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(教科書無償措置法)である。

 第一次安倍内閣の下で、教育基本法が全面改正され、教育の国家統制は改憲による「戦争ができる国づくり」に先行して始まっている。先に言及した沖縄における教育の国家統制の予鈴は、「教科書無償措置法」と「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)の矛盾・衝突の中で、国家権力からの恫喝として沖縄県竹富町に鳴り響いている。

 事の発端は、2011年8月、沖縄県石垣市、竹富町、与那国町で構成する教科書採択八重山地区協議会が、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版中学公民教科書を選び、一市二町の教育委員会に答申したことである。答申を受けた石垣市と与那国町は育鵬社版、竹富町は東京書籍版を採択した。沖縄県教育委員会の指導助言で3市町の教育委員が全体会議を開いて、「同一教科書」の採択に向け再協議したところ、石垣市と与那国町は「再協議するのは不服」として退席し、多数決で東京書籍版が選ばれたのだ。

 結局のところ、文科省は採択地区協議会の「規約に従ってまとめられた結果」に従うよう指示し、竹富町はこれに従わず、東京書籍版を使うこととし、今日に至っている。文科省は、違法状態にあると不満を表明し、竹富町に教科書の無償給与する事をやめている。竹富町では、保護者や教員OB有志らからのカンパで教科書を購入し、2012年度、2013年度で中学3年生に計50冊(4万円弱)を配布してきた。

 文科省は、「採択地区ごとに同一の教科書を選ぶ」ことを定める「教科書無償措置法」第13条4項を盾に竹富町に育鵬社版の採用を迫る。一方、竹富町は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)第23条6号の規定を根拠に、その正当性を主張する。たしかに竹富町の主張のように、「地方教育行政法」第23条6号には「教科書その他の教材の取扱いに関すること」は、教育委員会が管理し、執行すると定めている。竹富町の言い分は正しい。違法は存在しないのだ。

 文科省は、去る10月18日、沖縄県教育委員会に対し、竹富町が中学校で使っている公民教科書を育鵬社版へと是正要求するよう指示をした。竹富町教育委員会は文科省の是正要求に改善措置を取る義務は負うが、従わなくとも罰則はない。是正要求に不服なら「国地方係争処理委員会」への審査申し出も可能だ。逆に、従わない自治体に対し国が違法確認訴訟を提起することも可能だ。

 文科省は、「地方教育行政法」と「教科書無償措置法」の矛盾・衝突を放置しておきながら、竹富町教育委員会を悪者扱いする。私に言わせると、二つの法律の矛盾・衝突を放置してきた文科省が一番の悪者だ。文科省は、地方自治法の是正要求という強権発動をして、原発や基地、憲法問題で極めて保守的な記述が多い育鵬社版公民教科書を押しつけることによって、教育行政と教育現場及び教科書の国家統制を図ろうとしているのだ。

 竹富町の中学校公民教科書問題の背景には、安倍内閣の改憲による「戦争ができる国づくり」がある。教育の国家統制を断じて許してはいけない。



(2013年10月22日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)  

Posted by terukan at 00:00憲法コラム

特定秘密保護法は修正でもダメだ

2013年10月18日

 国家は常に機密を秘匿する。外交・防衛に関する「機密」に該当しないものまで、なるべく国民にはその情報への接近、入手、報道を一切禁じたいとの本能を持っている。
 一方で、情報公開と国民の「知る権利」、メディアの「報道・取材の自由」は民主主義の根本であり、最大限尊重されなければならない。国家による外交、防衛等に関する機密保護の名の下に、国民の「知る権利」、メディアの「報道・取材の自由」を規制し、「機密」漏洩を重罰を科して取り締まろうとするのは、戦争準備行為であって許されない。
 昨日の社民党憲法コラムで「宮澤・レーン事件と特定秘密保護法」と題する一文を書いた。たくさんの方々が読んで下さったようだ。

 今朝の朝刊各紙によると、政府が今臨時国会に提出予定の特定秘密保護法について、与党自公間で調整が終わり、10月25日に閣議決定のうえ、提出する事を決めたようだ。
 報道によると、「知る権利」や「報道・取材の自由」について、法案には努力(訓示)規定を明記する事で決着したらしい。単なる努力規定ではダメだ。実効性もない。

 私は、特定秘密保護法の制定には断固反対する。
 10月25日に法案が閣議決定されたら、詳細な反対論を書くつもりでおる。

10月18日 17時35分  

Posted by terukan at 17:37

オスプレイ参加の日米共同訓練の不可解

2013年10月17日

 陸上自衛隊と米海兵隊は昨日(10月16日)、滋賀県の陸上自衛隊饗庭野演習場で日米共同訓練をおこなった。同訓練には、米軍普天間基地所属のMV22オスプレイ2機が使用された。オスプレイを日米共同訓練で使用するのは初めてだ。

 訓練終了後、小野寺防衛大臣は「本土での訓練受け入れが広がれば、沖縄の負担軽減につながる。今回が第一歩だ」と記者団に語っている。
 だが、24機が強行配備された普天間基地のオスプレイのうち2機が、しかも、たった1日だけ、ごく短時間の日米共同訓練で使用されたところで、どう沖縄の基地負担軽減になるのか、まったく理解できない。
 
 一方で、日米共同訓練に立ち会っ武田防衛副大臣は「安全性を理解してもらう上で非常にいい実績を上げた」とアピールしている。小野寺大臣と武田副大臣の発言は、一体どちらが防衛省の本音で、本当の目的なのか。

 とまれ、私に言わせれば、どっちもどっち、評価にすら値しない。沖縄では日米間で合意した飛行ルートや安全基準も守らず、やりたい放題の訓練を許しているのだ。米軍に対して一言も文句を言えない防衛省の言うことか!
 
 結局、オスプレイを使った日米共同訓練は、沖縄県民だましの単なる政治ショーにすぎない。早速、質問主意書を提出して、政府の態度を質すことにした。



10月17日 13:30



 

   

Posted by terukan at 13:51

【憲法コラム】宮澤・レーン事件と特定秘密保護法案

2013年10月17日



 突然ですが、あなたは「宮澤・レーン事件」を知っていましたか?――私は、不勉強で迂闊にも知りませんでした。私が「宮澤・レーン事件」を最初に知ったのは、2013年10月4日付東京新聞「こちら特報部」の報道記事だった。東京新聞の記事は、「スパイぬれぎぬ 宮澤・レーン事件」「軍機保護法 秘密保護法と酷似」「第三者検証の仕組みなく」の見出しで、「宮澤・レーン事件」の当事者である宮澤弘幸さんの妹の証言や事件を調査した藤原真由美弁護士の証言等で構成されていた。

 私は特定秘密保護法案との関連で「宮澤・レーン事件」に興味を持ち、勉強を始めた。そして、臨時国会召集日の去る10月15日、私も呼びかけ人になっている「秘密保護法を考える超党派の議員と市民の勉強会」で講師の米倉外昭氏(新聞労連副委員長・琉球新報記者)が「圧殺される報道と市民運動」と題する講演の中で、「宮澤・レーン事件」に言及し、故上田誠吉弁護士の著書や報告書について話されるのを聞いた。

 「宮澤・レーン事件」は、正式には「宮澤弘幸・レーン夫婦軍機保護法違反冤罪事件」と呼ばれているようだ。「宮澤・レーン事件」は、太平洋戦争が開戦した1941年12月8日に発生した。当時、北海道帝国大学2年生の宮澤弘幸さんが軍機保護法違反で逮捕され、懲役15年の実刑判決を宣告されたのだ。宮澤さんは、取調べ中の拷問と過酷な服役生活で結核になり、敗戦後、釈放されたが、27歳の若さで亡くなった。

 一方のレーン夫婦は、米国人で北海道帝国大学の英語教師と講師だった。夫のハロルド・レーン氏は懲役15年、妻のボーリン・レーンさんは懲役12年の実刑判決を受け、米国に送還され、敗戦後の1951年に北海道大学へ復職したが、後に札幌市で死去した。

 さて、宮澤弘幸さんが逮捕された主な容疑は「樺太に旅したときに偶然見かけた根室の海軍飛行場を、友人のレーン夫婦に話した」ことだった。軍機保護法は、1899年7月に公布され、1937年には改正軍機保護法が成立している。軍機保護法は、軍事上の秘密を保護することを目的としており、その立法目的等に照らし、安倍内閣が今臨時国会での成立を狙っている特定秘密保護法案と同じ内容と法構造である。

 軍機保護法は、1937年に大幅改正され、立法目的である軍事上の秘密の探知、収集、漏洩の範囲が拡大され、「戦局の緊迫化とともに、『観光でたまたま写した風景に軍事施設が写っていた』というような軽微な理由で、次々と一般市民が逮捕される事態になったのである(10月14日付東京新聞)。

 「宮澤・レーン事件」のように、裁判で重罰に処しながら、容疑事実の「秘密」は法廷で一切明らかにされず、裁判も非公開、判決文も破棄されるか、伏せ字だらけであったようだ。まさに、暗黒裁判だ。現在安倍内閣が成立を急ぐ特定秘密保護法案も「特定秘密」を指定するのは国の行政機関の勝手、何が「秘密」か、それを問うこと自体が「秘密」なのだ。事件自体が「秘密」とされてしまう。そのような悪法の成立を力を合わせて阻止しなければならない。

 過日、私の国会事務所に沖縄在住の主婦の方から「特定秘密保護法に反対して下さい」との電話があったようだ。応対した秘書の話では、自宅近くの本屋で私の姿を何度も見かけたらしい。

 もちろん、私も社民党も特定秘密保護法案、それと密接に関連する国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案には、断固として反対だ。その事は、10月13日の各党国対委員長出演のNHK日曜討論で、私から明言した。大事なのは、国会議員だけでなく、多くの市民、弁護士、メディアの方々が特定秘密保護法案反対の声を挙げ、緊急行動に立ち上がることだ。

 さて、巨大与党の自公は、衆参に特定秘密保護法案と国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案審議のための特別委員会を設置し、一気呵成に法案を成立させようとしている。10月17日の衆院本会議では、社民党、共産党、生活の党が反対したにも関わらず、「国家安全保障に関する特別委員会」の設置が決まった。

 巨大与党は、特別委員会であれば、毎日のように委員会が開催できるので、重大法案である両法案を、国会審議を形骸化し、短期間に成立を図っているのだ。かかる巨大与党の横暴を絶対に許してはならない。

 安倍内閣は、来週にも正式に特定秘密保護法案を衆議院に提出するだろう(国家安全保障会議設置法案は前国会より継続審議となっている)。特定秘密保護法案の持つ問題点、「知る権利」や「取材の自由」「表現の自由」との関連については、次の機会に書きたいと思う。

 私は、特定秘密保護法は、安倍内閣が進めている憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認や日米軍事一体化・融合化と軌を一にするものだと考える。安倍内閣や巨大与党が特定秘密保護法の制定を急ぐのは、アメリカからの強い要求によるものである。軍事秘密の厳罰化法制は、まちがいなく新たな戦争の始まりだ。日本を再び暗い戦争の時代にしてはならない。「情報は、民主主義の通貨であり、血液である」という言葉がある。情報は市民・国民のものだ。

 私は、特定秘密保護法は違憲であり、その制定は、実質的な立法改憲である、と断言する。



(2013年10月17日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)  

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アンパンマン(やなせたかしさん)逝去

2013年10月16日

 アンパンマンの作者であるやなせたかしさんが、10月13日に逝去した。94歳、大往生である。

 私には、3名の子どもと6人(もうすぐ7人目誕生)の孫がいる。
 想い起こすと3人の子どもと6人の孫たちは、皆んなアンパンマンが大好きだ(大好きだった)。
 二人の孫にいたっては、現在2歳だが紙おむつにもアンパンマンのイラスト入り、積木もアンパンマンとその仲間たちのイラスト入りである。その他にもアンパンマンのグッズを愛用しているから、孫も喜び、その親(私にとっての子ども、ムコやヨメ)も喜んでいるのだろう。

 テレビアニメ「それいけ!アンパンマン」が放映開始されたのが、1988年であるから「育児不合格」親の私などがアンパンマンを語る資格はない。
 だが、やなせたかしさん作詞、いずみたく作曲の童謡「手のひらを太陽に」は、よく大声で歌っていた。

 今日(10月16日)の朝刊各紙にやなせたかしさんの業績、お人柄、関係者が語る評伝が載っており、丹念に読むといか程アンパンマンシリーズが多くの子ども達に愛と勇気と感動を与え、「生きる力」を与えていた事が良くわかった。
 私は「アンパン」大好き人間だが、アンパンマン作者のやなせたかしさんの偉大さに学び、政界のばいきんまん達に負けないように気合いを入れて頑張らねばいけない。「アンパンマンのマーチ」のリズムに乗って!

10月16日 10時20分


16日付 沖縄タイムス記事  

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安倍総理が所信表明。「世界で一番企業が活躍しやすい国」をと。

2013年10月15日

 第185回国会が本日召集された。12月6日までの53日間の臨時国会である。夏の参議院選挙後、本格的な論戦をする国会だ。

 さて、今日の衆議院本会議における所信表明演説で、安倍総理は、デフレからの脱却はいまだ道半ばだが、経済成長と財政再建はアベノミクスの「三本の矢」のこの道しかない、と声を張り上げた。そのうえで、消費増税を決断し、国家戦略特区制度の創設などで、日本は「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざす、と言い放った。
 安倍総理は、庶民いじめの消費増税を断行し、法人税減税、雇用破壊の「解雇自由特区」制度の創設など新自由主義の政治、大企業優先の政治を強力に推進するつもりらしい。

 一方で、安倍総理は所信表明演説で「積極的平和主義」を掲げて前に進む、と述べた。その内実が憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認であることは見え見えだ。
 また、安倍総理は、こうも明言した。「憲法改正について、国民投票の手続を整え、国民的議論を更に深めながら、前に進んでいこうではありませんか」と。このことは、自公が進めている国民投票法の改正(18歳以上の国民投票年齢)を民法その他の法改正を伴わずに先行し、憲法改悪を急ぐ、との表明に等しい。

 日本版NSC法、特定秘密保護法の制定、集団的自衛権の行使容認、新ガイドラインの見直し、自民党憲法改正草案に基づく天皇の国家元首化、国防軍の創設等に基づく「地球の裏側」までの派兵、日米軍事同盟の一体化・融合化を強行し、平和国家から戦争国家へと暴走する安倍内閣とは、国会内外で闘いを創り出し、対決していく-。今日の安倍総理の所信表明演説を聞いて、その思いを一層強くした。


15日午後3時すぎ=衆議院第2議員会館

 今日は15時から「集団的自衛権の行使は平和憲法の破壊だ!」院内集会もあり、私も出席して、連帯挨拶をした。多くの市民が危機意識を高め、立ち上がっている。


10月15日 16:40
  

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【憲法コラム】ヘイトスピーチは「人種差別で違法」との判決考察

2013年10月15日



 去る10月7日、京都地方裁判所は、在日朝鮮人に対する差別をあおるヘイトスピーチに、「人種差別にあたり違法」だとする判決を言い渡した。画期的な判決であり、高く評価したい。

 本件裁判は、原告学校法人京都学園が、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)や「在特会」メンバーら9人の個人を被告にして提起した「街頭宣伝差止め等請求事件」(以下、「京都地裁判決」という)である。

 私は、「京都地裁判決」言渡しの報道に接し、快哉の声を挙げ、この判決が過激化するヘイトスピーチを防ぎ、寛容であるべき日本社会を破滅させるヘイトスピーチをなくす司法判断として定着することを願った。

 早速、新聞各紙報道の「京都地裁判決」要旨や判決文正本コピーを関係者から入手し、精読した。「京都地裁判決」は、その事実認定、法律の適用と評価、証拠の採否など、弁護士生活42年目の私が読んでも、丁寧かつ緻密であり、被告「在特会」らが控訴したようであるが、控訴審で逆転する事はあるまい、との判断に至った。

 「京都地裁判決」は、被告「在特会」は、平成18年12月2日設立され、全国に37の支部を有し、会員が1万2千人を超えた(平成24年頃)と認定している。判示された「在特会」の目的は、「在日問題を広く一般に提起し、在日を特権的に扱う、いわゆる在日特権を無くすこと」であり、「在特会」が問題視する在日朝鮮人の「特権」とは、主に在日朝鮮人に対する特別永住資格や通名制度等を指している。「在特会」には、「七つの約束」と称する綱領と会則を有しており、民事訴訟法29条でいう社団として民事訴訟における当事者能力を有すると認定した。

 さて、本件裁判で争点になったのは、被告らの京都朝鮮初級学校へ赴いての面談強要、授業中の拡声器を使った怒号、批難、誹謗中傷等を叫ぶ示威行動及びそれらの様子をインターネット動画サイトに投稿したこと等の法的評価である。

 「京都地裁判決」は、被告らの活動や示威行動をヘイトスピーチ(憎悪表現)という直接的言葉を使ってないが、その示威行動は、「原告の本件学校における教育業務を妨害するとともに、学校法人としての社会的評価たる名誉・名声を著しく損なう不法行為である」、と断じている。

 「京都地裁判決」は、具体的な事実認定において、被告らの本件示威行動が、「日本社会で在日朝鮮人が日本人その他の外国人と共存することを否定し、さらには『保健所で処分しろ。犬の方が賢い』などとあざけり、在日朝鮮人が犬以下とするものもある。」「朝鮮学校を『卑劣、凶悪』と言い、在日朝鮮人について『ゴキブリ、ウジ虫、朝鮮半島へ帰れ』と言い放っている。」と証拠認定する。その悪口雑言は、去る1月27日、オスプレイ配備反対のオール沖縄の上京要請団に対する「売国奴、ゴキブリ、ウジ虫、日本から出て行け!」の罵声と共通する。ヘイトスピーチは、ウチナーンチュにも向けられているのだ。

 「京都地裁判決」は、結論として争点となった被告らの本件活動や示威行動について、「在日朝鮮人という民族的出身に基づく誹謗であって、在日朝鮮人の平等の立場での人権及び基本的自由の享有を妨げる目的を有するものといえるから、全体として人種差別撤廃条約第1条第1項所定の人種差別に該当するものというほかない。」

 「(被告らの)本権活動に伴う業務妨害と名誉棄損は、民法709条所定の不法行為に該当すると同時に、人種差別に該当する違法性を帯びているということになる。」等と認定し、被告らに合計約1200万円の損害賠償支払いと原告学校法人の半径200メートル以内での街宣活動を禁止する判決を言渡したのである。

 一方、本件裁判において被告らは、「公益を図る目的での表現行為や評論表現での違法性阻却、応酬的言論の法理による免責」等を主張し、抗弁したが、「京都地裁判決」は、「被告らの判示名誉棄損表現が専ら公益を目的でされたのかといえば、そう認定することは非常に困難、自らの違法行為によって反発を招いた事に対する応酬的な悪態も違法性阻却による免責理由にあたらない」、と被告らの主張を退けた。

 私も、憲法第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障する。」との規定は、民主政治における社会的価値が高く、表現の自由は民主主義にとって不可欠の要素であり、基本的人権のなかでも優先的地位があることは認める。

 だが、表現の自由に便乗して違法なヘイトスピーチやレイシズムが許されて良いはずもない。私は、ヘイトスピーチに対する安易な法規制による刑事罰は望まない。権力に表現行動規制の口実を与えてもいけないのだ。そのためにも、差別構造や意識をなくす教育や啓発も大事だろう。一方、「処罰を科すのは民主主義国家の常識」と批判する識者がいることも知っている。

 「京都地裁判決」を受けて前田朗氏(東京造形大教授・刑事人権論)は「ヘイトスピーチは『表現の自由か規制か』というとらえ方をされることが多いが、それは間違っている。差別行為であるヘイトスピーチは言論とは言えず、表現の自由に当たらないことは明らか。そうしたことを社会全体で考えていく必要がある。」と語っている(10月9日付東京新聞)。前田教授の考え方に賛成する。

 ヘイトスピーチ規制のあり方については、当面、先に結成された「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」(のりこえねっと)の設立宣言等を参考に、私も加入した超党派議連の「ヘイトスピーチ研究会」で議員立法の制定を目指すことにしよう。



(2013年10月15日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)  

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「10・10空襲」から69年目の慰霊祭

2013年10月11日

 昨日は、昭和19(1944)年の「10・10空襲」から69年の節目であった。
 「10・10空襲」で県都那覇市は一瞬にして灰燼に帰した。戦没者は2万9千人余だ。

 今日(10月11日付)の地元紙朝刊によると、那覇市連合遺族会が主催する慰霊祭の最中に、参加者の頭上をオスプレイが4度にわたって飛来したようだ。爆音が鎮魂の参列者の声をかき消し、空襲体験者を恐怖と不安に陥れたという。慰霊祭の読経や焼香を妨害する無神経な米軍によるオスプレイ飛行訓練に激しい怒りを禁じえない。

 遺族連合会の大嶺正光会長はマスコミの取材に対し、「戦後68年経っても、不発弾や遺骨が地中に多く眠る。さらにオスプレイの配備、戦争の爪痕は消えない。私たち遺族は、戦争の愚かさを子や孫の世代に伝える責務がある」と語っている。
 いいえ、遺族だけではありません。今を生きる全ての者の責任です。

10月11日 10時


11日付 沖縄タイムス記事

  

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日米地位協定運用改善の欺瞞

2013年10月10日

 去る10月8日、外務・防衛の両大臣が揃って来沖し、仲井眞知事らと面談している。両大臣は、去る10月3日の日米安全保障協議会(2プラス2)で合意した内容を直接に仲井眞知事へ報告する、というのが表向きの来沖目的のようだった。
 だが、普天間飛行場の辺野古移設(新基地建設)が沖縄の基地負担軽減のためには、「唯一実現可能」な案だ、とする日米合意と両大臣の説明に、仲井眞知事は「県内移設」は不可能だと首をタテにふらなかった。そのうえで仲井眞知事は、「実現可能性、迅速性を考えると県外が明らかに早い」と重ねて県外移設を求めたようだ(10月9日付琉球新報)。
 私は、仲井眞知事の判断を支持する。普天間飛行場の「県内移設」に反対し、「県外国外移設」による即時閉鎖、返還を強く要求する。


外務省資料(10月8日発出)

 ところで、10月8日に来沖した岸田外務大臣は、10月4日の日米合同委員会で日米地位協定の運用改善に合意した、と発表し、沖縄の基地負担軽減に資すると胸を張った。
 発表された運用改善の内容は、在日米軍の軍人・軍属の公務中の犯罪について、新たに未確定判決や懲戒処分の有無を1カ月ごとに日本政府に通知するとの合意だ。日本政府は、通知内容を原則として被害者や家族に開示するが、開示内容は加害者が同意した範囲に限られるという。
 なんだこりゃー。これで悪質は米軍人・軍属の犯罪が減るわけではない。被害者家族らへの通知開示も実効性がない。地元二紙の解説記事も「改定望む県と隔たり」(10月9日付沖縄タイムス)、「『治外法権』改善遠く」(前出琉球新報)と手厳しい。不平等不公平な日米地位協定は、全面的に改正しなければ、ウチナーンチュの人権と尊厳は守れないのだ。

 外務大臣は、子どもだましはやめろ。いや、子どもでも騙されぬ。

10月10日 14時55分  

Posted by terukan at 14:57

ヘイトスピーチは違法との京都地裁判決

2013年10月09日

 悪質なヘイトスピーチ(憎悪表現)をくり返す「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に、10月7日、京都地裁が「ヘイトスピーチ」は違法と断定し、街宣活動をくり返した団体への活動禁止と1,200万円余の賠償金支払いを命ずる判決を下した。まだ、一審判決の段階だが非常に画期的な判決と評価する(近々に判決文を入手して勉強したいものだ)。

 東京・新大久保や大阪・鶴橋など在日朝鮮・韓国人が多い地域における「在特会」やネット右翼らによるヘイトスピーチは、単なる「憎悪表現」を超えてレイシズム(人種差別)である。ヘイトスピーチは、在日朝鮮・韓国人だけでなく、オスプレイ強行配備に反対し、撤去を要求するオール沖縄の上京要請団に対しても向けられた。
 在日朝鮮・韓国人に対しては「良い韓国人も、悪い韓国人も殺せ」と叫び、ウチナーンチュには「ゴキブリ」「売国奴」「日本から出て行け」と怒鳴る。
 今回の京都地裁判決は、京都朝鮮第一初級学校(京都市)の校門前で行われた街頭宣伝とその様子を撮影した映像をインターネットで公開したことが、「著しく侮蔑的な発言を伴い、在日朝鮮人の人権を妨げる目的がある」と批判し、映像のインターネット公開も「差別意識を世間に訴える意図の下に公開した」として、不法行為に当たると判示した。

 私は、先に自身のブログで「在特会」のヘイトスピーチは、不法・不当な行為であり、既に実害が生じており、もはや憲法の表現の自由を逸脱していると批判した。
 今回の京都地裁判決の根拠は、国連人種差別撤廃条約である。わが日本は同条約に加盟しているが、人種差別を煽ることを違法として禁止を求める第4条については、表現の自由に抵触しかねないとして、批准を留保している。ヘイトスピーチを取り締まる立法を検討する前に、先ずは第4条を批准すべきである。

 ヘイトスピーチとレイシズムを「のりこえねっと」も結成された。寛容な社会の実現が一日も早いことを願い、ヘイトスピーチとレイシズムに反対していきたいものだ。

10月9日 16時40分
   

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【憲法コラム】「奴隷の幸せ」と「軍隊・階級」を拒否した軍警備員

2013年10月09日



 沖縄の日本「復帰」が実現したのは、1972年5月15日である。昨年は、「復帰」から40年の節目にあたり、「反復帰論」「琉球独立論」などの総括を含め、様々に「復帰」の内実が論じられ、沖縄の自立や自己決定権確立の将来展望が語られた。

 悲惨な沖縄戦の終結と米軍占領支配直後から1950年代後半までの「復帰」運動は、極めて民族主義的で情緒的色彩の強いものであった。1960年4月28日、「沖縄県祖国復帰協議会」が結成されて以来の「復帰」運動の目標は、大衆運動の高揚とともに「日本国憲法の下への復帰」へと質的転換を遂げた。もちろん、当初から「復帰」運動への思想的・運動論的批判もあった。だが、「復帰」が実現し、今日までの経過の中で、多くの県民は「日本国憲法の下への復帰」が「日米安保体制の下への復帰」に変質している事に気づいたのである。

 今では、法治(法)主義の美名の下に、沖縄をアメリカの軍事植民地状況下に放置し続ける日本政府の「構造的沖縄差別」に強く異議を申し立て、沖縄の自立と自己決定権の確立を求める模索と実践が始まっている。

 「復帰」前から在沖米軍で働く警備員の皆さんも、「復帰」が実現し、自分達の雇用関係が日本国憲法の下で律される事を期待していた。復帰前、在沖米軍で働く警備員らは、米国陸軍大佐である憲兵指令官を長とする米国陸軍保安課の指揮監督下にあり、武装して米軍基地の警備や交通整理等の職務に従事していた。従って、「無憲法」下の沖縄、しかも、武装して米軍基地を警備するのが主たる職務の彼らには、労働三権の保障はなかった。

 1972年4月5日、軍警備員労働組合(軍警労)が結成された。復帰前の基地労働者は、アメリカ政府の「直接雇用」であった。復帰後は、日本政府が雇用主で使用人はアメリカ政府という「間接雇用」へ移行した。

 組合結成直後の軍警労がまっ先に取り組んだのが、階級章・肩章撤廃闘争である。実は、復帰前の軍警備員らは、米軍と全く同じ階級制度の労務監理がなされ、「二等兵から大佐」までの階級制度の下、制服に階級章・肩章の着用が義務づけられ、職場でも階級による命令・服従関係が徹底していた。

 それが故に、(1)勤務中に上官(同じ日本人)の靴を磨かされたり、乗用車を洗わされたり、反抗すると昇給が停止され、差別的な勤務配置を命ぜられた。(2)米軍や職場の上司(上官)には、常に敬礼を強要された。(3)米軍同様の哨舎・立哨・動哨勤務要領や歩哨一般命令の適用を受けたのであった。それ以外にも「奴隷労働」の実例を数多く聞かされた。

 軍警備員は、「復帰」によって日本政府が法的雇用主となり、米軍同様の階級制度による労務監理は廃止され、着用する制服から階級章・肩章が消えるものと期待した。ところが、そうはならなかった。やむなく、1972年6月16日から24日まで、制服から階級章・肩章を剥ぎ取って就労した。軍警備員らは、「武器対等の原則」による近代労働法の保障を求め機敏に決起したのである。

 軍警労の突然の決起に、米軍は、武装米兵を出動させ、実力で就労を拒否した。私は軍警労から依頼され、組合員の運転する乗用車の後部トランクに押し込まれ、基地内の闘争現場で就労要求闘争を指導した。見つかれば逮捕され、復帰後の刑事特別法違反第1号になるところであった。ところが、基地のゲートで立哨している者も組合員であり、難なく米軍基地に入る事が出来たのである。

 「階級章撤廃闘争」に決起した軍警労の組合員に法的雇用主たる日本政府は、賃金カットをした。「ノーワーク・ノーペイ」の原則を適用するとの言い分だ。

 1972年8月5日、軍警労の組合員507名が国を相手にカット賃金の支払いを求める断行の仮処分を申請した。開業間もない私が代理人を依頼された。一人で国を相手にするのは心細いので、弁護士を増やすようにお願いすると、「弁護士費用がないので、一人でやってくれ」との返事。

 1972年11月28日、断行の仮処分で全面勝訴の決定が出た。直後に、米軍は軍警備員らの制服から階級章・肩章を撤廃した。

 カット賃金支払いの断行の仮処分全面勝訴と階級章・肩章撤廃により、この問題は一件落着したものと思っていた。

 ところが、国は1982年12月16日、仮処分決定に対する起訴命令を申立てた。やむなく、賃金請求の本裁判を起こした。その時点で亡くなった組合員や居所不明者も多数おり、本訴提起に苦労した。だが、絶対に敗けるわけにはいかなかった。

 私は、軍警労の階級章撤廃闘争とそれに関連する裁判闘争は、「奴隷の幸せ」(主の米軍に従順で命令をきいてさえいれば、賃金と職場が保障される)を拒否し、日本国憲法第13条、第14条、第19条、第28条違反と労働基準法第3条、第5条違反を理由とする日本政府と軍警労の組合員(原告)らとの、人間性回復を求める攻防戦だ、と確信した。

 1988年12月15日、賃金請求事件の本裁判で全面勝訴した。実に、16年余の長い、長い闘いの結末であった。私は、弁護士開業直後に軍警労階級章撤廃闘争とその裁判闘争に出会い、弁護士としても、一人の人間としても、実に多くの事を軍警労の皆さんから学ばせてもらった。そのことが、今日の弁護士・国会議員としての私の原点になっている。

 軍警労は、その後全駐労沖縄地区本部に組織統合し、今はない。私は、後に出版された「階級章撤廃の記録」に一文を寄せ、次のように書き記した。

 「階級章撤廃闘争は、いかなる者も労働基本権を奪うことは許されないこと、労働者は一人一人は弱い存在だが、団結して闘えば大きな存在になり得ることを実証した。

 この裁判闘争の記録は、軍雇用員の存在証明を賭けた裁判の記録として、みんなの共有財産になると信じている。目に見えない権威や権力に「敬礼」の強要が始まりつつある時世だからこそ、自らの尊厳をもって「敬礼」を拒否し、「階級章」を剥ぎ取り、軍隊と階級を否定した人達がいたことを誇りに思う。」と。



(2013年10月9日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)  

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【憲法コラム】宮崎駿監督の改憲反対論

2013年10月07日



 「戦闘機が大好きで戦争が大嫌い」という、内なる矛盾を抱えながら生きてきた巨匠映画監督・宮崎駿の「監督」論や作品の映画批評を目的にこの論稿を書いているつもりではない。第一、「寛徳」が「監督」を論ずるなんて、洒落にもならず、不遜だと批難轟轟だろう。それに、私は宮崎駿監督の長編アニメ映画作品である「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」「もののけ姫」など多数のうち、わずかしか観てないのだ。

 映画は嫌いではない、むしろ大好きだ。だが、幼少年期のわが家は貧乏で映画が観れる環境ではなかった。青壮年期も仕事に追われる日々、「基地沖縄」の現実に向き合い、苦悩する中で、映画を楽しむ余裕などなかった。もちろん、全く観なかったわけではない。「名作」との前評判の高い映画などは観たし、国会議員になってからは宿舎で古い映画をDVDで鑑賞している。

 過日、宮崎駿監督の「遺言」とも言われる最後の長編アニメ映画の「風立ちぬ」を老妻と二人で観た。「愛妻」ではなく、「老妻」と書いてしまったが、二人は同じ歳(1945年生)であり、ともに脳卒中の後遺症と格闘しながらも、“老いるショック”を日々感じつつ暮らしているからである。ゴメンナサイね。

 「風立ちぬ」は、観客が810万人を超え、今なお記録更新中だろう。「風立ちぬ」は、実在の人物堀越二郎をモデルに、その半生を描いた作品であるが、堀辰雄の小説「風立ちぬ」からの着想も盛り込まれている、との評論もある。

 宮崎駿監督は、「風立ちぬ」の映画完成後、公開中に「僕のアニメーションの時代ははっきり終ったんだ」と言い、2013年9月6日引退を表明した。私と老妻が「風立ちぬ」を観たのは、その二日後である。

 引退表明記者会見で、宮崎駿監督は「基本的に子どもたちに、この世は生きるに値するんだということを伝えるのが自分たちの仕事の根幹になければいけないというふうに思ってきました」と述べている。私は、この一言が「風立ちぬ」に込めた宮崎駿監督のメッセージだろうと思うし、映画を観ての感想でもある。

 さて、本題の宮崎駿監督の改憲反対論に移ろう。

 小冊子「熱風」の憲法改正問題特集(スタジオジブリ発行・2013年7月号)がマスコミで評判になった。早速購入しようと、秘書に手配を頼んだが、取扱い書店で品切れ。やむなくPDF配信でダウンロードして一読した。

 宮崎駿監督は、1941年生まれだ。私より4つ歳上である。「熱風」の前記特集号で「憲法を変えるなどもってのほか」と題して語った(同論文は談話形式で纏められている)宮崎駿監督は、「子どもの頃は『本当に愚かな戦争をした』という実感がありました。」と述べている。同時に、「もうちょっと早く生まれていたら、絶対、熱烈な軍国少年になっていたはずでした。」とも語っている。

 「憲法改正」について、宮崎駿監督は、「憲法を変えることについては、反対に決まっています。」と明言したうえで、「96条先行改憲」について、次のように箴言・忠言する。

 「法的には96条の条項を変えて、その後にどうこうするというのでも成り立つのかもしれないけれど、それは詐欺です。やってはいけないことです。国の将来を決定していくことですから、できるだけ多数の人間たちの意見を反映したものにしなきゃいけない。多数であれば正しいなんてことは全然思ってないけれど、変えるためにはちゃんとした論議をしなければいけない。」

 「政府のトップや政党のトップたちの歴史感覚のなさや定見のなさには、呆れるばかりです。考えの足りない人間が憲法なんかいじらないほうがいい。」

 宮崎駿監督は、立憲主義という言葉を使わないが、「96条先行改憲」の本質を見抜き、鋭く批判しているのである。疎開先での空襲体験や占領軍の振舞を記憶する宮崎駿監督は、戦争体験もない、沖縄のような「無憲法」下の米軍占領も知らない政治家達が「憲法なんかいじるな」と喝破するのである。

 憲法第9条と自衛隊について、宮崎駿監督は「もちろん、憲法9条と照らし合わせると、自衛隊はおかしい」おかしいけれど、そのほうがいい。国防軍にしないほうがいい。」と語っている。自民党「日本国憲法改正草案」9条の2において「国防軍」を創設すると謳っている事をきちんと批判している。

 「憲法改正問題」以外でも、「慰安婦の問題も、それぞれの民族の誇りの問題だから、きちんと謝罪してちゃんと賠償すべきです。」「(日本は)こんな原発だらけの国で戦争なんてできっこないじゃないですか。」などとも語り、最後に「今流行っていることはやるな」と結んでいる。

 「今流行っていることはやるな」との宮崎駿監督の言葉は意味深だが、宮崎作品は一貫して「国のために色々やった人を描くのではない」との信念で作られたようなので、「個人より国家」「基本的人権より国益と公の秩序」を優先する自民党ら改憲派の改憲策動に同調するな、との意味だろう、と私は理解した。


 「風立ちぬ」公式サイト(http://kazetachinu.jp/)より

(2013年10月7日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)  

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日米2プラス2の共同声明を批判する

2013年10月04日

 台風23号が接近中の沖縄に、昨日10月3日に東京で開催された日米「2プラス2」の共同声明に関する詳細が伝わってきた。
 日米両政府の外交・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は、昨日共同声明を発出した。

 先ず、注目の普天間基地返還問題については、名護市辺野古への移設が「運用上、政治上、財政上及び戦略上、唯一の解決策」と強調し、強力な計画推進で合意している。
 沖縄の民意を全く無視した日米間の合意であり、断固反対する。名護市長も「陸にも海にも基地を造らさない」「日米は思考停止している」と批判している。仲井眞知事も依然として「県外移設」が有効で実行可能だ、との見解を表明した。


4日付地元二紙

 昨日の「2プラス2」では、2009年のグアム移転協定を改定し、米軍の訓練場建設にも日本が支払う28億ドルを充てることも決まった。日本はアメリカにとって変わらない「現金自動支払機」である。福祉や費用など国民を守るのではなく、アメリカの為に税金を使っている。

 許せないのは、強行配備されたオスプレイについて、米ヘーゲル国防長官が「現時点で半分以上を県外で飛行を行なっている」と述べたことだ。それなら普天間基地に配備する必要はない。地理的、抑止力の観点でも普天間基地でなくて良い。さっさと撤去し、県外へ移せ。

 一方で、「2プラス2」の共同声明は、沖縄の基地負担軽減策についても言及するが、口先ばかりで実効性がない。2~3日の本土への訓練移転で負担軽減になる(しかも短時間だけ)などと県民の誰も信じていない。

 「2プラス2」の共同声明は、結局米軍と自衛隊の一体化の促進を確認しただけだ。沖縄の我慢は限界だ。沖縄は騙されんぞ。

10月4日 10時50分  

Posted by terukan at 10:51

山内徳信氏琉球新報賞を受賞する

2013年10月03日

 沖縄の地方紙である琉球新報は、今年創刊120周年を迎えた。この創刊120周年という意義ある今年の琉球新報賞を山内徳信氏(前社民党参議院議員、元読谷村長)が受賞した。極に慶賀にたえない。心からおめでとうございます。

 山内氏の受賞は、「沖縄振興功労」だが、39歳で読谷村長に就任すると、平和憲法を村政運営に実践し、「平和・文化村づくり」を村民とともに強力に推進した。
 膨大な村域を占める米軍基地の返還と跡地利用、旧日本軍飛行場の返還、それに先立つ旧軍飛行場への庁舎やソフトボール場等の建設は、山内氏の深い哲学的実践であり、前人未踏の挑戦であった。損絵の民俗資料館・博物館・美術館の建設は、「文化で飯が食えるか」との一部保守系議員の反対もあったが、政治信念を貫いた。
 返還軍用地跡に村立診療所をはじめ一大医療施設群を形成したのも、山内氏の村長としての手腕発揮であり、村内外から多数の観客を動員するようになった「よみたん祭り」も山内氏の発案である。



 山内氏が39歳で高校教師から村長に就任した際、私は29歳で村の顧問弁護士を頼まれ、いらい24年間、毎月1度は無料法律相談で出張し、随時村政の法律相談をこなしてきた。山内氏の功績は、余りにも偉大である。
 山内氏が2007年に参議院議員に当選し、以後は同じ社民党の国会議員として、「徳・徳コンビ」で国会内外で活動した。今回、勇退をされたが、沖縄の闘争現場での「徳・徳コンビ」は続くのである。

 先日、大田昌秀(元知事、元参議院議員)、山内徳信、東門美津子(沖縄市長、元衆議院議員)、私の4人で大田氏の米寿を祝い、沖縄の現在と将来を語り合う夕食会をやった。大田氏も大元気で活躍しておられる。嬉しい。励みになる。
 山内氏に琉球新報賞受賞の祝意を伝えるべく電話を入れ、「天皇から勲章を貰うより、栄誉ある賞だ」と言うと、「その通りだ」と素直に喜んでおられた。
 山内氏の40年に及ぶ政治生活を支えたのは、ミサエ夫人である。お二人は、うらやましい程仲の良い夫婦である。

10月3日 10時35分

  

Posted by terukan at 10:39
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