【憲法コラム】作家・百田尚樹氏の暴言・妄言に抗議する
2015年06月26日

今日は朝からワジワジーして(怒って)いる。
地元二紙で大きく報じられた昨日(6月25日)の作家・百田尚樹氏による沖縄と沖縄二紙への暴言・妄言に腹の底からワジワジーしているのだ。(中央紙でも小さく報じられている)
報道によると、百田氏は、安倍総理に近い自民党の若手国会議員らによる憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」で、次のように暴言・妄言を吐いている。
まず、米軍普天間飛行場の形成過程について「もともと田んぼの中にあり、周りには何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何年もかかって基地の周りに住みだした」と述べたらしい。
現在の普天間飛行場内には戦前、役場や小学校、10の集落があり、民家や先祖代々のお墓もあったことは万人が認めるところだ。普天間飛行場は悲惨な沖縄戦終結後、国際法に反して強制的に接収されたのだ。
作家だからといって、世界一危険な普天間基地の形成過程に関する歴史的事実を無視し、思い込みで勝手なことを発言するのは許されない。
次に、勉強会に出席した関係者の証言によると、百田氏は軍用地主(地権者)について「基地の地主さんは年収何千万円なんですよ、みんな」「ですからその地主さんが、六本木ヒルズとかに住んでいる。大金持ちなんですよ」などと持論を展開したようだ。
百田氏の「持論」はあまりにも馬鹿げていて、根拠の全くない妄言の類で反論する気にもなれない。一笑に付したい。断固抗議し、発言の撤回を強く求めたい。
とはいえ、百田氏の誤った言説がもっともらしく流布され、ネット上に拡散されても困るので、指摘しておく。
沖縄には、いわゆる軍用地主が約4万3千人いるが、その半数以上(54.2%)が年間地料100万円以下だ。500万円以上受け取っているのは約3,400人(7.9%)に過ぎない(平成23年度。沖縄防衛局資料)地権者の高齢化にともない相続が進み、1人当たりの受け取り額は年々減少しているのが実態である。
ほとんどの地権者は、先祖の眠る土地の一日も早い返還を願っている。百田氏の指している「六本木ヒルズ暮らしの大金持ち」とは、軍用地を投機対象にしている土地ブローカーのことではないか。
普天間飛行場の地主みんなが、年間何千万円もの地代を受け取り、六本木ヒルズに住んでいるなら、百田氏はその証拠も併せて開示すべきだ。それができないなら、百田氏の普天間基地形成過程に関する初歩的な知識は「永遠の0(ゼロ)」だ。
あー、全くもって情けない。怒り心頭。このような悪意に基づく沖縄差別発言は許せない。
極めつきは、勉強会に出席した議員から沖縄の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張したことである。
百田氏の言説は、言論・報道の自由への干渉、弾圧にあたり、憲法21条に反するものだ。断じて許せない。
百田氏の主張に呼応して、出席した議員からは、安保法制(いわゆる戦争法案)を批判する報道全般に対し「マスコミをこらしめるために広告収入をなくせばいい。文化人が経団連に働きかけてほしい」「沖縄は戦後、予算漬けだ。地元紙の牙城でゆがんだ世論をどう正すのか」などの批判もあったようだ。
百田氏を招いた自民党若手議員らも国会議員の資格・資質は「永遠の0」だ、と言いたい。
百田氏の暴言・妄言をウチナーとウチナーンチュは絶対に許さない。

6月26日付沖縄タイムス

(2015年6月26日 社民党衆議院議員 照屋寛徳)
Posted by terukan at 13:40
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